特性のある子ほど「わかってくれる人」感が大事|決めつけない声かけの話

教育

※本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。

「よかれと思った声かけが、なぜか響かない」。特性のある子と関わっていると、そんな瞬間に何度もぶつかります。励ましたつもりが黙り込ませてしまったり、優しく言い換えたはずなのに顔が曇ってしまったり。今日は、私が日々の現場で大事にしている「決めつけない声かけ」の話をします。結論を先に言ってしまうと、特性のある子ほど大切なのは、正しいアドバイスよりも「この人は自分のことをわかってくれる」という感覚を丁寧に届けることでした。ぐーたらな私が唯一まじめに考え続けているテーマかもしれません。

「よかれと思った声かけ」が、なぜか響かないとき

子どもと関わる仕事をしていると、声かけの正解が一つではないことを痛感します。大人としては精一杯やさしく、精一杯わかりやすく伝えているつもりなのに、相手の子はスッと心を閉じてしまう。特性のある子だと、その反応がより顕著に出ることがあります。感覚が敏感だったり、言葉の裏側にある大人の「期待」を鋭く感じ取ったりするからです。

私が働いているのは、ロボット作り、ゲーム作りなどを子どもたちに教える教室です。ものづくりのスキルを教える場ではありますが、実は同じくらい「その子がどんな取り組み方をするか」という姿勢の面を大切にしています。だからこそ、うまくいかないときの声かけは毎回が真剣勝負です。同じ言葉でも、ある子には効いて、ある子にはまったく届かない。そのたびに「今の言い方は、この子にとってどう聞こえただろう」と考え直しています。

響かない声かけには、だいたい共通点があります。それは、大人が「この子はこういう子だ」と先に決めてしまっていること。悪気はまったくなくても、その決めつけが言葉の端々ににじんでしまうのです。今日の記事は、その落とし穴と、そこから抜け出すために私が現場で試してきた方法についてお話しします。

「あなたは○○な子でしょ」が、いちばん心を閉じさせる

いちばんやってしまいがちで、いちばん子どもの心を閉じさせるのが「あなたは○○な子でしょ」という決めつけの声かけです。「あなたは飽きっぽいから」「あなたは緊張しいだから」「あなたは本当は優しい子だから」。一見すると、相手を理解しているように聞こえます。でも受け取る側の子どもからすると、これは「勝手に枠にはめられた」という体験になりがちです。

大人が子どもを分類してしまう理由はよくわかります。忙しい現場では、その子の傾向を素早くつかんで対応したい。過去の経験からパターンを当てはめた方が効率的です。でも、そのパターンが当たっているかどうかは別問題ですし、たとえ当たっていたとしても、本人にとっては「決めつけられた」という感覚だけが残ることがあります。特性のある子は、この「わかってもらえていない感」にとても敏感です。一度そう感じると、そのあと何を言っても届かなくなってしまう。

世間では「子どもをよく見てあげましょう」「特性を理解してあげましょう」とよく言われます。それ自体は正しいのですが、落とし穴は「理解した“つもり”」で止まってしまうことです。理解とは、あらかじめ用意したラベルを子どもに貼ることではありません。むしろ、貼りたくなるラベルを一度手放して、その子が今どう感じているかを目の前で確かめ直すことの方が、ずっと理解に近い行為だと私は考えています。

子どもが本当に求めているのは「わかってくれる人」感

では、決めつけの代わりに何を届ければいいのか。私がたどり着いた答えは、子どもにとっていちばん大事なのは「自分のことをわかってくれる人がいる」という感覚だ、ということです。正しい助言よりも、上手な励ましよりも、まずこの安心感が土台になります。土台がないところに、どんな立派なアドバイスを積んでも崩れてしまうのです。

この「わかってくれる人」感は、完璧に理解してもらうこととは少し違います。100点の理解でなくてもいい。むしろ「この人は、私のことを決めつけずに、ちゃんと知ろうとしてくれている」という姿勢が伝わることの方が大きいのです。大人がわからないなりに「こう思ってるのかな?違ったら教えてね」と歩み寄る。その不完全さも含めて、子どもは「わかってくれようとしてくれている」と感じ取ります。

これは特性のある子に限った話ではありません。ただ、特性のある子は日常の中で「わかってもらえなかった」経験を積み重ねてきていることが多いので、この感覚の有無が、心を開くかどうかを大きく左右します。逆に言えば、ここさえ届けられれば、多少こちらの声かけがぎこちなくても、子どもは受け止めてくれる。私は現場で何度もそれを体感してきました。子どもの側に「この人は味方だ」というスイッチが入る瞬間があるのです。

以前、こどもが感想文を書くのが苦手な理由を書いた回でも触れたのですが、子どもが何かをできない・やりたがらないとき、その裏には必ず本人なりの理由があります。「わかってくれる人」感は、その理由に一緒にたどり着こうとする姿勢そのものだと思っています。

教室で実践している、決めつけない3ステップ

抽象的な話が続いたので、私が教室で実際にやっている手順を具体的にお伝えします。特別な資格やテクニックが要るわけではなく、順番を意識するだけで声かけは大きく変わります。

1つ目は「決めつける前に、まず観察する」こと。子どもが課題でつまずいたとき、すぐに「集中力がないから」と理由を決めてしまわず、その子が何に手を止めているのかを黙って見ます。画面のどこを見ているか、どこで手が止まったか、表情はどうか。ラベルを貼りたくなる気持ちをぐっとこらえて、事実だけを拾う時間をつくります。

2つ目は「普段からヒアリングして、仮説を持つ」こと。これは、その場だけで完結しません。日頃の会話の中で、その子が何を好きで、何を苦手に感じ、どういうときに機嫌がよくて、どういうときに固まるのかを少しずつ知っていきます。すると「今日のこの様子は、たぶんこういう理由じゃないかな」という仮説が持てるようになります。大事なのは、それをあくまで“仮説”として持つこと。決定した事実として扱わないことです。

3つ目は「その仮説を、本人に返して確かめる」こと。「あなたは○○でしょ」と断定するのではなく、「ここが難しかったんじゃない?」「本当はこうしたかったんじゃないかな?」と、疑問形で相手に投げ返します。合っていれば「そうなの」と乗ってきてくれるし、違えば「ちがう、こうだった」と教えてくれる。どちらに転んでも、子どもは「この人は私の考えを知ろうとしている」と感じてくれます。この3ステップの肝は、観察→仮説→確認という流れを、決めつけずにぐるぐる回し続けることにあります。

課題を投げ出した子が、ほっとした顔をした話

具体的なエピソードをひとつ。ある日、ものづくりの課題の途中で、パッと手を止めて「もうやらない」と投げ出してしまった子がいました。作りかけの作品を前にして、口をとがらせて動かない。こういうとき、経験の浅い頃の私なら「せっかくここまでできたのに、もったいないよ」「あと少しだからがんばろう」と、励ましの声をかけていたと思います。でもその言葉は、たいてい子どもをさらに頑なにさせます。

そのときの私は、まず黙ってその子の手元を見ました。作品のどこで止まっているのか、直前に何をしていたのか。観察してみると、その子はある操作が思うようにいかなくて、何度かやり直していた形跡がありました。普段のヒアリングから、その子が「できないところを人に見られるのが嫌」というタイプだと薄々わかっていたので、私は「怠けている」とは思いませんでした。むしろ「ここが難しくて、うまくいかないのがしんどかったんじゃない?」と、仮説を疑問形で返してみたのです。

すると、それまで固まっていたその子が、ふっとほっとした顔になって、ぽつぽつと本音を話し始めてくれました。「ここ、何回やってもずれちゃう」「できないのがはずかしかった」と。決めつけずに理由を当てにいったことで、「わかってもらえた」というスイッチが入った瞬間でした。そこから先は早くて、一緒に手を動かして難所を越え、最後にはちゃんと作品を完成させられました。もし最初に「もったいないよ、がんばろう」と押していたら、あの子はきっとその日ずっと心を閉じたままだったと思います。

家庭でも今日からできる声かけのコツ

ここまで教室での話をしてきましたが、家庭でも同じ考え方は使えます。むしろ、毎日一緒にいるご家庭だからこそ、この積み重ねが効いてきます。とはいえ、忙しい毎日の中で完璧を目指す必要はありません。ぐーたらな私が言うのもなんですが、力を抜いて続けられることの方が大事です。

まずおすすめしたいのは、子どもが何かをやめたり、ぐずったりしたときに、理由を決めつけずに「どうしたの?」より一歩踏み込んで「○○が嫌だったのかな?」と、こちらの仮説を添えて聞いてみることです。ただの「どうしたの?」だと子どもは答えに詰まりますが、選択肢や仮説があると「うん」か「ちがう」で反応しやすくなります。合っていなくても構いません。「わかろうとしてくれている」という空気が伝わることが目的です。

もうひとつ、褒め方についても触れておきます。「褒めることが大事」とよく言われますが、私は闇雲に褒めるのはおすすめしていません。とくに、生まれ持った見た目や、テストの点数のような“結果”だけを褒めるのは逆効果になりがちです。大事なのは過程を褒めること。「最後まで座って取り組めたね」「さっき難しいところ、もう一回やってみたよね」と、やっている行動を細かく分解して、できていることを根気よく言葉にしてあげる。これも「あなたのことをちゃんと見ているよ」という、わかってくれる人感の一種です。

集中の続きにくい子には、環境の工夫も助けになります。私の教室では、残り時間が視覚的にわかる仕組みをよく使っています。以前教室でも使っているビジュアルタイマーを紹介した回で書いたのですが、「あと何分」を言葉で急かすより、目で見てわかる形にしてあげる方が、子どもは自分のペースをつかみやすくなります。声かけと環境づくりは、車の両輪のようなものだと感じています。

子どもへの向き合い方を、本から学び直す

現場でどれだけ経験を積んでも、子どもへの声かけに「これで完璧」というゴールはありません。私も日々迷いながらやっていて、うまくいかなかった日は家に帰ってから「あの言い方じゃなかったな」と反省することもしょっちゅうです。そういうとき、体系立てて整理された本を1冊持っておくと、自分の関わり方を落ち着いて見直す手がかりになります。

とくに、発達の特性や声かけの工夫について書かれた本は、専門家の視点で「なぜその声かけが効くのか」を言語化してくれるので、現場の直感を裏づけてくれます。私自身、迷ったときに読み返して「ああ、これでよかったんだ」と安心できた経験が何度もあります。気になる方は、子どもへの声かけを見直す本を楽天で探すのもおすすめです。もちろん本の内容をそのまま当てはめるのではなく、目の前の子に合わせて調整していくことが前提ですが、迷ったときの拠りどころが一つあるだけで、気持ちにゆとりが生まれます。

まとめ:正しさより「わかろうとする姿勢」を届ける

特性のある子への声かけで大切なのは、正しいアドバイスを渡すことよりも、「この人は自分のことをわかってくれる」という感覚を丁寧に届けることでした。そのために私が現場で意識しているのは、決めつける前にまず観察し、普段のヒアリングから仮説を持ち、その仮説を「こう思ってるんじゃないかな?」と本人に返して確かめる、という順番です。合っていても外れていても、わかろうとする姿勢そのものが子どもの安心につながります。

これは特別な才能がなくてもできることで、家庭でも今日から始められます。忙しい日々の中で完璧を目指す必要はなく、うまくいかなそうな場面だけ一呼吸おくところからで十分です。ぐーたらな私でも続けられているので、きっと大丈夫。目の前の子を決めつけずに知ろうとする、その一歩を積み重ねていけたらと思います。

子どもとの関わりや、教室でのものづくりの話は、これからも少しずつ書いていきます。よかったらXやInstagramのフォローで、のんびり続きを見守ってもらえたら嬉しいです。あなたのご家庭の「わかってくれる人」感づくりの、ちょっとしたヒントになっていたら幸いです。

komichi

komichi

気づいたらアラサー突入! ぐーたら生きつつ、 でも堅実に でも享楽的に

関連記事

おすすめ記事2

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP