子どもの褒め方でやりがちな失敗|結果より「過程」を褒める理由

教育

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「褒めて伸ばす」という言葉を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。子育ての本でもSNSでも、とにかく子どもは褒めた方がいい、と言われます。それを信じて一生懸命褒めているのに、なぜか子どものやる気が続かない。褒めた直後は嬉しそうにするのに、次の日にはまた「やりたくない」と言い出してしまう。そんなモヤモヤを抱えている方は、けっこう多いのではないかと思います。

私はふだん、子ども向けのITものづくり教室で、プログラミングや3DCGモデリング、ゲーム作りを教える仕事をしています。毎週たくさんの子どもたちと接していると、同じ「褒める」という行為でも、褒め方ひとつで伸び方がまるで違うことを日々実感します。今日は、その現場で見えてきた「やりがちな失敗」と、「結果より過程を褒める」ことがなぜ大事なのかを、できるだけ具体的にお話ししてみたいと思います。

「褒めているのに、やる気が続かない」の正体

まず、褒めているのにやる気が続かない、という現象そのものについて考えてみます。多くの場合、これは「褒める量」が足りないわけではありません。むしろ、たっぷり褒めているのに続かない、というケースの方が多い印象です。問題は量ではなく「何を褒めているか」にあります。

たとえば、子どもが作った作品を見て「すごいね」「上手だね」「天才だね」と声をかける。これはとても自然な反応ですし、悪気はまったくありません。私自身も、つい口をついて出てしまう言葉です。ただ、この「すごい」「上手」「天才」には、ある共通点があります。どれも、出てきた結果そのものや、その子の生まれ持った才能に向けられた言葉だということです。

結果や才能を褒められると、その瞬間はとても気持ちがいいものです。けれど、その気持ちよさは長続きしません。なぜなら、結果は毎回うまくいくとは限らないからです。うまくいったときだけ褒められる、という状態は、裏を返せば「うまくいかなかったら褒めてもらえない」というメッセージにもなります。子どもは、大人が思っている以上に、その裏側のメッセージを敏感に受け取っています。

「褒めることが大事」の落とし穴 ― 闇雲に褒めていませんか

「褒めることが大事」という言葉は、それ自体はまったく間違っていません。ただ、この言葉がひとり歩きして、「とにかく何でもいいから褒めればいい」という闇雲な褒め方につながってしまうと、思ったような効果が出なくなります。

闇雲な褒め方でいちばん気をつけたいのが、「生まれ持ったもの」を褒めてしまうことです。たとえば顔立ちや、もともとの器用さ、地頭のよさといったもの。これらは本人が努力して手に入れたものではないので、褒められても本人のなかに「じゃあ次も頑張ろう」という力にはつながりにくいのです。それどころか、「自分は努力しなくてもできる子なんだ」という思い込みを強めてしまうこともあります。

もうひとつよくあるのが、中身をよく見ないまま反射的に褒めてしまうことです。子どもが何かを見せに来たとき、内容をきちんと見ずに「はいはい、上手上手」と流してしまう。子どもは、その「見ていない褒め方」をちゃんと見抜きます。むしろ「ちゃんと見てくれていないな」と感じて、だんだん見せに来なくなってしまうこともあるのです。褒める、という行為は、実は「ちゃんと見ている」という姿勢とセットで初めて効いてくるものだと感じています。

結果だけを褒められた子が、挑戦をやめてしまう理由

結果だけを褒めることの何がいちばん危ういのか。私が現場で見ていていちばん怖いと感じるのは、「失敗を恐れて挑戦しなくなる」ことです。

教室には、たとえばゲーム作りの課題に取り組む子がいます。ある子は、簡単にクリアできそうな作り方ばかりを選び、少し難しそうな仕組みには手を出そうとしませんでした。話を聞いてみると、その子は「できた」「完成した」という結果をとても大事にしていました。おそらく、これまで「完成させたこと」や「うまくできたこと」を中心に褒められてきたのだろうと思います。すると、失敗するかもしれない挑戦は、その子にとって「褒めてもらえないリスクのある行動」になってしまうのです。

結果だけで評価される世界では、失敗はただのマイナスです。だから、確実に成功しそうなことしかやらなくなる。これは、大人でも身に覚えがあるのではないでしょうか。うまくいったときだけ評価される職場では、誰もが無難な選択ばかりするようになります。子どもも同じで、挑戦の芽は「結果だけを褒める」環境のなかで静かに摘まれていってしまいます。

逆に言えば、途中の工夫や、うまくいかなかったときの粘りを褒められて育った子は、失敗を「褒めてもらえる過程の一部」として捉えられます。だから、多少難しそうなことにも手を伸ばせる。この差は、長い目で見るととても大きなものになっていくと感じています。

教室で実感した「過程を褒める」と伸びる子の共通点

では、具体的にどう褒めればいいのか。答えはシンプルで、「過程(プロセス)を褒める」ことです。結果ではなく、その子が実際にやった行動や工夫、考えたことを認めてあげる。言葉にすると当たり前のようですが、いざやろうとすると意外と難しいものです。

たとえば、プログラミングでうまく動かなかったところを、子どもが順番を入れ替えて直したとします。このとき「できたね、すごい」ではなく、「さっき動かなかったところ、順番を変えて直したのがよかったね」と、その子がやった具体的な行動を言葉にして返します。すると、子どもは「あ、自分がやったことをちゃんと見てくれている」と感じます。そして、次に別の場所でつまずいたときにも、「また順番を変えてみようかな」と、自分で工夫しようとするようになるのです。

この教室は、ものづくりのスキルそのものだけでなく、子どもの「取り組み姿勢」の成長を大事にしています。だからこそ、私たちスタッフは「できた・できない」の結果よりも、「どう取り組んだか」の過程に目を向けるように心がけています。以前、子どもが感想文を書くのが苦手な理由について書いた回でも触れましたが、子どものつまずきは「才能がない」からではなく、たいてい「まだ経験していないだけ」です。過程を褒めることは、その経験を積む後押しになります。

私自身、教える立場でありながら、Blenderで2回も挫折した経験があります。何度もつまずいて、そのたびに少しずつやり方を変えて乗り越えてきました。だからこそ、子どもがつまずいている過程にこそ声をかけたくなるのだと思います。うまくいった結果だけを見ていたら、その子が本当に頑張ったところを見逃してしまいます。

過程を褒めるための3つの手順

「過程を褒めるのが大事なのはわかった。でも、具体的にどうすれば?」という声が聞こえてきそうなので、私がふだん意識している手順を3つに分けてお話しします。

1つめは、結果ではなく過程を褒めると決めることです。まずは「上手だね」「すごいね」という結果への言葉を、意識的に少し減らしてみます。完全にゼロにする必要はありませんが、結果への言葉ばかりになっていないか、自分の口ぐせを振り返ってみるところから始めます。

2つめは、褒める前に、行動を細かく分解して観察することです。これがいちばん大事だと私は思っています。子どもがやったことを、ひとつの「作品」として大きく捉えるのではなく、「色を選んだ」「順番を考えた」「一度消してやり直した」といった、細かい行動の連なりとして見るのです。細かく分解して見ると、褒められるポイントは必ず見つかります。結果がいまいちでも、その途中には必ず、その子が考えたり工夫したりした瞬間があるからです。

3つめは、見つけた行動を、具体的な言葉で返すことです。「難しいところに気づけたね」「順番を変えて直したのがよかったね」というように、抽象的な「えらい」ではなく、その子が実際にやったことを名指しで認めます。具体的であればあるほど、子どもは「本当に見てくれている」と感じますし、次に何をすればいいのかも自分でわかるようになります。

  • 1. 結果ではなく過程を褒めると決める(口ぐせの見直し)
  • 2. 褒める前に、行動を細かく分解して観察する
  • 3. 見つけた行動を、具体的な言葉で返す

「あなたは○○でしょ」と決めつけない声かけ

過程を褒めることと並んで、私が大事にしているのが「決めつけないこと」です。大人はつい、「あなたは飽きっぽいから」「あなたは慎重だから」と、その子を分かったつもりで決めつけてしまいがちです。でも、決めつけられた子は、「この人は私のことを本当には見ていない」と感じてしまいます。

私が心がけているのは、決めつける代わりに、普段からその子の様子をよく聞いて、「あなたはこう考えているんじゃないかな?」と、気づいたことを伝える形にすることです。これは断定ではなく、あくまで「私にはこう見えたよ」という投げかけです。もし違っていたら、子どもの方から「ううん、そうじゃなくて」と教えてくれます。この「わかってくれようとしている人がいる」という感覚こそが、子どもが安心して挑戦するための土台になると考えています。

褒めることも、突き詰めればこの「ちゃんと見て、わかろうとする」姿勢の一部です。過程を褒めるためには、その子の行動をよく観察しなければなりません。観察するということは、その子に関心を持って向き合うということです。だから、過程を褒める習慣は、自然と「決めつけない声かけ」にもつながっていくのだと思います。

家庭でもできる、過程を褒める声かけの具体例

ここまで教室での話が中心でしたが、過程を褒めることは、家庭でも今日からできます。特別な準備は要りません。いくつか、置き換えの例を挙げてみます。

たとえば、子どもがテストで良い点を取ってきたとき。「100点すごいね」だけで終えるのではなく、「毎日少しずつ問題を解いていたもんね」と、そこに至るまでの行動を添えてみます。結果がいまいちだったときも、「点数は残念だったけど、苦手だったところを最後まで解こうとしていたね」と、取り組みの姿勢を認めることができます。

お絵かきや工作でも同じです。「上手だね」ではなく、「この色とこの色を組み合わせたんだね、面白いね」「細かいところまで根気よく塗っていたね」というように、その子が選んだこと・やったことに目を向けます。最初は少し照れくさいかもしれませんが、慣れてくると、子どもの行動のなかに褒めどころがたくさんあることに気づけるようになります。

褒め方について、さらに深く知りたい方には、子育てや声かけをテーマにした本もたくさん出ています。私も現場で悩んだときに、いろいろな考え方に触れてきました。気になる方は楽天で子育て・褒め方の本を探すのもおすすめです。一冊、自分の考えの軸になる本があると、迷ったときに立ち返る場所ができて心強いですよ。

まとめ ― 褒めるなら、結果より「過程」を

子どもの褒め方でやりがちな失敗は、「褒めることが大事」という言葉を信じて、結果や才能を闇雲に褒めてしまうことです。結果だけを褒められた子は、失敗を恐れて挑戦しなくなってしまいます。大事なのは、結果ではなく過程を褒めること。そのためには、褒める前にその子の行動を細かく分解して観察し、見つけた行動を具体的な言葉で返すことがポイントになりそうです。そして、「あなたは○○でしょ」と決めつけず、普段からよく見て「こう考えているんじゃないかな」と気づきを伝える。この積み重ねが、子どもが安心して挑戦できる土台をつくっていくのだと思います。

明日、お子さんが何かを見せに来たら、まずは「すごいね」の代わりに、その子がやった行動をひとつ、言葉にして返してみてください。小さな一歩ですが、きっと子どもの表情が少し変わるはずです。このブログでは、子育てや教室でのできごと、ぐーたらだけど堅実に生きるための工夫を、ゆるゆると書いています。よかったらX(旧Twitter)やInstagramのフォロー、ほかの記事ものぞいてみてもらえたら嬉しいです。それでは、また。

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気づいたらアラサー突入! 新卒1年目から本業×副業をしているkomichiです。「自分のできる範囲で地道にコツコツ」をモットーに日々を生きています。 ぐーたら生きつつ、でも堅実にでも享楽的に

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